英(はなぶさ)太郎のひとり芝居を見てきました。一時間半弱の一幕モノ。
明るいままの客席の通路を、つつつ・・・と歩いて来る人がいると思ったら、舞台の階段を滑るように上がった。英さんは白いワイシャツと黒いスラックス、素顔で登場。背筋をすうっと伸ばした上品な立ち姿が美しい。生で素顔を見るのは初めてだが、綺麗な男性だ。女形だが、女っぽさはない。階段を上ったところで、客席に軽く会釈。ひとつひとつの動作が流れるよう。
今回の見所は、英さんが舞台上で服を脱いで衣裳に着替え、化粧をし、鬘を乗せ、瞽女に変わる過程を全部見せること。役者が役になる途中を見るなんて、私には滅多にないこと。どういう風に化粧をするのか、どういう風に芝居の中に入っていくのかは興味があるところだったので、とても面白かった。洋服を脱ぎ捨てて浴衣に着替え、襟を開いて化粧する姿は男性だ。しかし鬘を乗せ、俯き顔を上げて目を開いた瞬間に、仕草や表情が女性に変わったような気がした。浴衣を脱いで衣裳をひとつひとつ身につけていくにつれて、小さな台の上の仏様ひとつ・化粧道具・衣裳しかない舞台上が、だんだん過去にタイムスリップしていく。目の前で性と時間を越えていくのはなんとも不思議な感覚だ。着替を終えた英さんは、客席にむかって手をついてお辞儀をし、目を閉じ、芝居を始めた。
私は「英太郎のひとり芝居」という所に惹かれただけで原作も読んでないのだが、女性の気持ちを剥き出しにする芝居に‥‥時に正直言って退いてしまったが‥‥しかしそれだけ強い芝居ということでいろいろと胸打たれた。今年はこれまで見てきたような芝居見物はしないで別世界を覗くと宣言したのにイキナリ反しているが、まあ例外もあるってことで。
瞽女については、ともえ姐さんが纏めているので、入り口として紹介しておきます。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~nikkicho/goze/